湖南市の石部宿

湖南市の人口は全国より減っているのか 数字を並べて見えてきたこと

結論から先に言ってしまえば、湖南市の人口は、全国平均と比べるとそれほど減っていません。
むしろ、ここ最近の国勢調査の区切りでは、少しだけですが増えているんです。

2015年から2020年の5年間で全国は約0.7パーセントの減少。
一方、湖南市は 54,289人 から 54,460人へと171人の増加で、約0.31パーセントの微増。
たしかに差はわずかですが、向いている方向が違うのははっきりしています。
全国的に人口が減る時代に、ほんの少しでも増えているというのは、数字以上に意味のあることかもしれません。

とはいえ、ここで「湖南市は安心」と思い込むのはちょっと早い。
増えたといってもごくわずか。しかもたった5年間のこと。
たまたまの揺らぎの可能性もある。だからこそ、他の市町と並べて考えてみる価値があると思いました。


滋賀県内の市町村と比べると分かる湖南市の立ち位置

湖南市だけの数字を見ていると「微増」という言葉がポジティブに響いてきます。
でも、同じ滋賀県内の市町と横に並べてみると、その意味合いがもう少し見えてくるんです。

たとえば、同じ期間の人口増加率はこんな感じです。

草津市 +4.86パーセント
守山市 +4.23パーセント
栗東市 +3.10パーセント
野洲市 +1.25パーセント
大津市 +1.20パーセント
彦根市 −0.03パーセント(ほぼ横ばい)
甲賀市 −2.80パーセント

この並びに湖南市を加えると、+0.31パーセント。
草津や守山のように、グイグイと人を引き込むような成長の勢いはない。
けれど、甲賀市のように明確な減少が続いているわけでもない。
まさに「真ん中」。その中間的な位置こそ、湖南市らしさだと感じます。

じゃあ、どうしてその中間でいられるのか。理由は一つじゃないけれど、いくつかのポイントが見えてきます。

湖南市には国道1号が通っていて、石部駅や甲西駅のある草津線も走っている。
移動の選択肢が多く、日常の暮らしを支える店舗も点在している。
たとえば、イオンタウン湖南のような商業施設が町の中にあるというのは、それだけで買い物の手間が減る。
住む場所を選ぶときに「便利そう」と思えるかどうかは、静かに効いてくるんですよね。

それに、湖南三山(善水寺、長寿寺、常楽寺)に代表されるように、観光の要素もある。
観光が直接人口を増やすわけではないけれど、外から人が出入りする理由があるというのは、町の空気を固めにくくしてくれる。そう思います。


同じくらいの人口規模の市と比較してみる

湖南市はおよそ5万人台の人口です。
同じような規模の都市として、岩出市(和歌山県)羽村市(東京都)、四條畷市(大阪府)を並べてみました。(全国市町村人口ランキング

この5年間での変化はこんな感じ。

岩出市 +0.96パーセント
羽村市 −2.70パーセント
四條畷市 −1.60パーセント
湖南市 +0.31パーセント

こうして比べてみると、増えているのは湖南市と岩出市。
羽村市と四條畷市はしっかりと減っていて、方向性がはっきり分かれているのが分かります。

しかも、羽村や四條畷のように大都市圏に隣接した町は、住宅地としての性格が濃い。
便利ではあるけれど、住宅の更新が進まなかったり、世代交代が滞ったりすると、減少に転じやすい。
その点、岩出市は和歌山市と大阪圏のちょうど中間にあり、生活圏としての自由度があるように思えます。

湖南市も、これに近いポジションかもしれません。
滋賀県の中では草津や大津には及ばないけれど、国道1号や草津線を使えば、通勤圏としての実力はある。
しかも、湖南市役所やサンヒルズ甲西、石部文化総合センター、湖南市立図書館など、公共施設が町のあちこちに配置されていて、行政サービスや文化的な支点が町中に散らばっている。

たとえば、草津に通う会社員が、土地の価格や家賃を考えて湖南市を選ぶ。
石部駅や甲西駅の周辺であれば通勤も現実的。
一方で、高齢になり車での移動が難しくなった世帯が、国道1号沿いやスーパーの近くへと町内で住み替える。
そんな日常の選択が、少しずつ積み重なって、町全体の人口を支えているのかもしれません。


人口があまり減っていない町に起きる静かな変化

湖南市のように、人口の総数が大きく動かない町には、逆に気づきにくい変化があります。

子どもの数は少しずつ減り、現役世代の層も細くなる。
その分、高齢者の割合が増えていく。
つまり、見た目は「変わっていない」けれど、中身が入れ替わっているんですね。

そうなると、町の風景や暮らしのリズムもじわじわと変わります。

通学路では子どもの声が減る一方で、通院や買い物の送迎支援が必要になる。
文化施設や図書館の利用時間帯が変わり、昼間の来館が増える。
国道1号の車の流れはそのままでも、地域の細い道は静かになっていく。

イオンタウン湖南がにぎやかに見えても、その背景で町内会の役員が足りなくなっていたり、小学校の運動会の規模が縮んでいたりすることもある。

私は彦根で、中心部の活気と周縁の落ち着き、どちらも肌で感じている。
湖南市でも、石部駅の周り、甲西駅の周り、湖南三山の麓、国道1号沿いと、それぞれでまったく違う表情がある。
だからこそ、人口という一つの数字だけで町を語るのは、危ういと思うんです。


湖南市の人口動態が教えてくれること

最後にもう一度。
湖南市の人口は、全国平均と比べて減っていません。むしろわずかに増えています。
県内で見れば、草津や守山のような勢いはないけれど、甲賀市のように下ってもいない。ちょうど中間に立っている。

でもその「中間」が、この先どう変化していくか。
そこには注意が必要です。

大事なのは、増えたか減ったかだけじゃない。
誰が残って、誰が町を離れていったのか。
それがこの先の湖南市をつくっていく鍵になる。そう思っています。


 

湖南市 人のうごき